Date:2019.8

ケアラ・ホワイト さん

ケアラさんはアメリカからの留学生で、ノラネコに注目して、人間と動物の関係について研究しています。彼女は、シカゴ大学で修士号を取得後、JETプログラム(外国語青年招致事業)で日本に来ました。徳島県で4年間、教えた後、一年間、阪大で研究生として在籍し、2019年4月から博士課程を始めました。日本での研究について聞きました。
どんなことを研究していますか。
ノラネコ
私は、関西の市街地でヒトとノラネコの関係をみています。興味があるのは、触れることが、どのようにヒトと飼われていないネコとの関係を媒介するかということ、ネコがどのようにこうした街のなかに住み、そこにいられるのか、インフラがどのように種間の接触を可能にする/しないのかといったことです。
なぜネコに興味をもったのですか。
たんにネコが好きだからです(笑)。でも、もちろん、ネコは直接、ヒトが管理しなくてもいることが許されたりするのがおもしろいです。たとえば、ヒトの家という空間だったり。イヌだとそうはいきません。ノライヌが歩き回ったりするのは、ふつうみかけませんし、もしそんなことがあれば、公衆衛生上、危険な問題とみられるでしょう。でも、ノラネコは、近代的な都市生活の一部です。基本的には、日本のどこに行ってもノラネコはいるでしょう。ノラネコをこわがる人はあまりいません。触ったり、かわいがったり、餌をあげたりします。こうしたネコが、慣例的にペットだと考えられていなかったとしても、公共の場にはたくさんの相互行為がみられます。ですから、本当に、ノラネコは、飼いならされた、所有されたペットというネコの概念を複雑にし、その一方で、組織、地方行政、街区の緊張関係のなかでの複雑な関係を浮かびあがらせたりもするのだと思います。
なぜ大阪大学に来ましたか。
はじめは研究生としてこの学部に勉強に来ました。何年間も先生をした後、私の調査に関連しそうな人類学部を探していました。森田先生の仕事を耳にしていたので、ここで研究生として過ごした後、この学部で博士課程のプログラムを続けることを決めました。
留学生にとって入学手続きや授業を受けることは簡単ですか。
イエスでもありノーでもあります。日本の官僚制度を乗りきっていくには慣れることが必要ですし、時間もかかります。入学手続きはそれほど難しくありませんが、日々の手順を効果的に理解し、使いこなしていくにはしばらく時間がかかります。幸いなことに、人間科学部と人間科学研究科には利用可能なサポートがありますので、まったく克服できない障がいではありません。
阪大の人類学部はどんな感じですか。
同僚の院生はとても協力的で、助けになります。この学部の最大のメリットは、研究科が小さいですけれど、先生から一対一でたくさんのフィードバックをもらえることだと思います。みんなのことをとてもよく知ることができますし、おたがいに論文やアイデアを批評しあう時間がたくさんあります。ですから、学位課程は、知的に成長して、着実に進歩できるまたとない機会です。