Date:2015.6

7年のジャーナリスト経験を経て、南スーダンへ。フィールドワークの面白さは、想定外のことが起こること。

村橋 勲 さん (博士課程)

7年のジャーナリスト経験を経たあと、博士課程から大阪大学人類学教室に入学してきた村橋勲さん。アフリカ・南スーダンで紛争後の社会について調査を行っています。村橋さんに、社会人経験後に博士課程に入ったきっかけ、具体的なフィールドワークの面白さや魅力について聞きました。
なぜ専門に人類学を選んだのですか?
人類学を選んだのは京都大学の学部3年の時でした。学部のゼミで友人と沖縄で1週間、フィールドワークをしたのがきっかけです。自分の足で現地に行き、自分の目で現場を見て、現地の人の話を聞きながら調査するフィールドワークに魅力を感じ、大学院進学後も人類学を選びました。
どんな研究テーマで研究をしていますか? それを研究しようと思ったきっかけはなんですか?
博士課程の研究テーマは、「南スーダンにおける紛争後の社会変化」です。私の場合、修士課程を取得後、博士課程に入るまで7年間、ジャーナリストとして働いていました。修士課程ではエチオピアで鍛冶集団の技術と社会階層について調査していましたが、博士課程では紛争後の社会再構築をテーマにしました。博士課程に入り、南スーダンで調査を始めたのは、新しく国民国家として誕生し、地域社会がどのように変化するかということに関心をもったからです。
フィールドワークや研究の醍醐味は何ですか?
フィールドワークの醍醐味は、現場に行った時の出会いや発見ではないでしょうか。人類学では、最初に自分が調査しようとする地域や事象についていくつかの文献を読み、プロポーザルを書きます。しかし、プロポーザルに書いたことは、あくまで「想定」であり、フィールドワークをするなかで直面する現実は、より雑多で、複雑で、多面的であることが多いと思います。フィールドワークの最大の魅力は、調査を進めるなかで、新たな事象に直面し、予想外の発見をすることで、事前の「想定」が変更を迫られ、新たな認識に至ることかもしれません。もちろん、フィールドワークがいつもそのようなうれしい発見をもたらすは限りません。なによりもまず、フィールドの人びとと一定の社会関係を構築し、彼らと対話することが大切です。フィールドに入り込むことは、人びとの性格やコミュニティの特質、自分と彼らの社会的立場の違いといったさまざまな要因に影響されますので、決して容易なことではありませんが、時間をかけてコミュニティに入り、フィールドの人びとと対話することで、研究としてのオリジナリティが出せるのではないかと思っています。
阪大人類学研究室のいいところはなんですか?
阪大人類学には4人の指導教官がいますが、ゼミでは、自分の指導教官だけでなく、それぞれの教官から指導を得られる点がいいところではないでしょうか。研究では自分の興味、関心はなにより大切ですが、人類学についてより幅広い知識を身につけることも必要だと思います。
現在の状況:

村橋さんは、2017年4月から日本学術振興会特別研究員PD(受入機関は京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)をしています。
2019年3月には、南スーダン難民の社会生活について博士論文を執筆し、阪大から博士号を授与されました。
その後も、東アフリカで移民・難民に関する研究を続けており、ヒトの移動とインフラ、移民・難民が集住する都市的空間の形成などに関心をもって調査を行っています。